喫茶店やカフェにまつわるエッセイおすすめ3選!

エッセイ

この記事では、喫茶店やカフェにまつわるエッセイを紹介いたします。喫茶店やカフェで読書をするという方も多いと思いますが、文筆家にとっては時に執筆の場になるということもあってか、数多くの文化人が喫茶店・カフェについての文章を残しています。

これらのエッセイを携えて、お気に入りの喫茶店・カフェで読書をするというのもいいかもしれません。

『世界カフェ紀行 5分で巡る50の想い出』中央公論新社編

世界カフェ紀行 5分で巡る50の想い出』は、中央公論新社編によるアンソロジーです。東京・渋谷にあるカフェ「ドゥ マゴ パリ」が発行していたフリーペーパー「ドゥ マゴ通信」に、各界著名人が寄せた「想い出のカフェ」についてのエッセイがまとめられています。

タイトルにあるとおり世界中のカフェが登場し、欧米に偏重しないよう、中東、アフリカ、アジアのカフェについてのエッセイもバランスよく収録されています。1編あたりの長さはいずれも約4ページで、短い文章をテンポよく読んでいけるのも特長。各カフェの雰囲気とともに、世界中を旅する気分をも味わいながら楽しめる一冊です。

『おいしいアンソロジー 喫茶店』大和書房編

おいしいアンソロジー 喫茶店』は、大和書房がだいわ文庫から出しているアンソロジーです。おいしいアンソロジー」シリーズのうちのひとつで、全40編が収録されています。

芥川龍之介や太宰治といった文豪から、麻布競馬場など近年の作家まで、書き手の年代はかなり幅広いです。個人的には具体的な店名が出てくるエッセイほどおもしろく、小川糸の「愛媛県松山 喫茶の町 ぬくもり紀行」や、常盤新平「しぶさわ」などがとくに興味深かったです。せっかく喫茶店がテーマなので、やはり出てくるお店に行ってみたいと思わせてくれる文章が楽しいです。

コーヒーをテーマにしたアンソロジー『作家と珈琲』(平凡社)、『こぽこぽ、珈琲』(河出書房新社)と収録作品の被りがやや多めだったのが惜しいところでした。

『喫茶店文学傑作選』林哲夫編

喫茶店文学傑作選』は、林哲夫編によるアンソロジーです。こちらは主に江戸末期からから昭和初期までの生まれの作家の作品を集めたもので、古い文学のムードが味わえる一冊(なかには平成に書かれた作品もありますが)。収録されているのはエッセイだけでなく、一部短編小説も含まれています。

「喫茶店文学」といいながら、なかには喫茶店についての描写はほんのわずかでまったく別のことが主題の文章もありますが、そうした作品もまた古い時代の貴重な記録として興味深いものがあります。とくに名前を知っている文士たちの交流や人間関係の様子がわかるエッセイは、思わず「へえ」と唸ってしまいます。

しっかり喫茶店が主役になっているエッセイでは、植草甚一の「東京に喫茶店が二百軒しかなかったころ」、戸川エマの「東京の喫茶店」などがよかったです。巻末には編者による各編の解説がついているのもうれしいところ。『喫茶店文学傑作選 苦く、甘く、熱く』という続編も出ているので、本書が気に入った方はそちらもどうぞ。

まとめ

以上、喫茶店やカフェにまつわるエッセイ3作の紹介でした。気になった方はぜひ購入して、お気に入りの喫茶店・カフェで読みふけっていただければと思います。

なお、近いテーマとして、コーヒーにまつわるエッセイについての記事もありますので、よろしければ以下のリンクからお読みください。