【4大ランキング集計】麻耶雄嵩のおすすめミステリ小説ランキング

ミステリ

この記事では、麻耶雄嵩のミステリ小説をランキング形式で紹介いたします。ランキングの指標には、ミステリ業界で毎年恒例となっている4大ミステリランキングを用います。具体的には以下の4つです。

・「週刊文春ミステリーベスト10」(1977年~)
・「このミステリーがすごい!」(1988年~)
・「本格ミステリ・ベスト10」(1997年~)
・「ミステリが読みたい!」(2008年~)

これら4つのランキングにおいて、当該作品が1位の場合には10点2位の場合には9点3位の場合には8点……10位の場合には1点を付与します。作品ごとに点数を集計し、合計点数の高いものを上位として順位をつけていきます。

麻耶雄嵩の全作品のうち、今回得点の対象となった作品は全部で11作です。1位から5位まではあらすじを含めて紹介し、6位以下は一覧表で確認できるようにまとめました。

上位の作品ほど複数のランキングで高く評価されたことになるため、きっと客観的な指標として役に立つと思います。これから麻耶雄嵩の小説を読みたいと考えている方にとって参考になれば幸いです。

第1位:『さよなら神様』 36点

「犯人は○○だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の捜査に乗り出すが…。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!第15回本格ミステリ大賞受賞。
(「BOOK」データベースより引用)

第1位は、2014年に刊行された連作短編集『さよなら神様』です。得点は36点。全ランキングで3位以上に入り、とくに「本格ミステリ・ベスト10」では1位を獲得しています。2005年刊行の『神様ゲーム』の続編で、すべてを知ることができる神だという小学生・鈴木と、その同級生・黒沢が引き続き登場。神である鈴木が最初から犯人を指摘するものの、いわゆる倒叙ものとは違う異色の本格ミステリです。不気味で後味の悪い麻耶雄嵩らしさが存分に味わえる傑作です。

第2位:『隻眼の少女』 28点

山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人と疑われた静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵・御陵みかげ。静馬はみかげとともに連続殺人事件を解決するが、18年後に再び惨劇が…。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した、超絶ミステリの決定版。
(「BOOK」データベースより引用)

第2位は、2010年刊行の長編『隻眼の少女』です。得点は28点。「本格ミステリ・ベスト10」で1位に輝いたほか、「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でともに4位に入るなどし、高得点を獲得しました。山奥の寒村、いわくありげな一族の屋敷で起きる連続殺人事件……と書くといかにもありがちなミステリに思えますが、それに留まらない仕掛けが待っている作品です。コアな本格ミステリファンにはおなじみの「後期クイーン的問題」に大胆に挑み、第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞した傑作です。

第3位:『メルカトルかく語りき』 25点

悪徳銘探偵(メルカトル)と五つの難事件、怜悧な論理で暴く意外すぎる真実の数々! ある高校で殺人事件が発生。被害者は物理教師、硬質ガラスで頭部を5度強打され、死因は脳挫傷だった。現場は鍵がかかったままの密室状態の理科室で、容疑者とされた生徒はなんと20人! 銘探偵メルカトルが導き出した意外すぎる犯人とは──「答えのない絵本」他、全5編収録。麻耶ワールド全開の問題作!!
(講談社HPより引用)

第3位は、2011年に刊行された短編集『メルカトルかく語りき』です。得点は25点。「本格ミステリ・ベスト10」と「ミステリが読みたい!」でともに2位にランクインしたことで高得点となりました。デビュー以来書き継いでいる銘探偵メルカトル鮎」シリーズの短編集で、全5編が収録されています。通常のミステリではありえないアクロバティックな作品ばかりで、麻耶雄嵩らしさ全開。とくに「答えのない絵本」のぶっとび具合は特筆ものです。

第4位:『神様ゲーム』 12点

自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?
(講談社HPより引用)

第4位は、2005年刊行の長編『神様ゲーム』です。得点は12点。「このミステリーがすごい!」と「本格ミステリ・ベスト10」でともに5位にランクインしています。前述の『さよなら神様』に先んじて発表された神様」シリーズの1作目で、「講談社ミステリーランド」という子ども向けのレーベルで刊行されたものです。「神様」を自称する小学生・鈴木の言動がまったく子どもらしくないこともさることながら、作品自体も子ども向けレーベルにふさわしいものとは到底思えない展開で、その容赦のなさはさすが麻耶雄嵩といわざるをえません。

第5位:『貴族探偵対女探偵』 10点

新米探偵・愛香は、親友の別荘で発生した殺人事件の現場で「貴族探偵」と遭遇。地道に捜査をする愛香などどこ吹く風で、貴族探偵は執事やメイドら使用人たちに推理を披露させる。愛香は探偵としての誇りをかけて、全てにおいて型破りの貴族探偵に果敢に挑む!事件を解決できるのは、果たしてどちらか。精緻なトリックとどんでん返しに満ちた5編を収録したディテクティブ・ミステリの傑作。
(「BOOK」データベースより引用)

第5位は、2013年に刊行された短編集『貴族探偵対女探偵』です。得点は10点。「本格ミステリ・ベスト10」で1位を獲得した結果となります。2010年刊行の『貴族探偵』に続く「貴族探偵」シリーズの2作目。2017年には前作とあわせてテレビドラマ化もされた作品で、コネと召使いを使って事件を解決する型破りの「貴族探偵」と、彼のライバル役である女探偵・高徳愛香の活躍が描かれます。前作と比較すると、女探偵の推理がダミーとして使われる多重解決ものとしての要素が加わり、また違った趣向が味わえる一作となっています。

5位:『鴉』 10点

弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点衝く大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉。そしてメルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。一九九七年のNo.1ミステリに輝く神話的最高傑作。
(「BOOK」データベースより引用)

同率で第5位となったのは、1997年に刊行された長編『』です。得点は10点。「本格ミステリ・ベスト10」で1位を獲得という内訳も『貴族探偵対女探偵』とまったく同じです。こちらは銘探偵メルカトル鮎」シリーズの一作で、外界から遮断された非文明的な村を舞台に起きる連続殺人事件の謎が扱われます。全体に漂う怪しげな雰囲気と、大胆に仕掛けられたトリックが楽しい一作です。

1点以上を獲得した作品全11作のランキングは以下のとおりです。各ミステリランキングの名称はスペースの都合上、略して書いています。各ランキングの順位で空欄になっているマスは10位圏外、「ー」はランキング開始前を表しています。なお、スマホの方は表を横にスクロールできます

順位点数タイトル文春このミス本格ミス読み
1位36点さよなら神様3位2位1位2位
2位28点隻眼の少女4位4位1位7位
3位25点メルカトルかく語りき8位7位2位2位
4位12点神様ゲーム5位5位
5位10点貴族探偵対女探偵1位
5位10点1位
7位8点3位
8位7点木製の王子4位
9位6点メルカトルと美袋のための殺人5位
10位5点貴族探偵6位
10位5点化石少女と七つの冒険6位

まとめ

以上、4大ミステリランキングの結果から独自集計した、麻耶雄嵩のミステリ小説ランキングでした。本格ミステリを主戦場にする著者が、「本格ミステリ・ベスト10」においていかに無類の強さを発揮しているかということがよくわかる結果となりました。癖の強い作品が多いですが、本格ミステリ界で高く評価されつづける異才の諸作に興味のある方は、ぜひランキングを参考にしていただければと思います。