『手塚治虫エッセイ集 7』のなかに、「なんでもベスト10 おとなのための童話」と題して、手塚治虫のおすすめする童話10作が紹介されています。これは、雑誌『週刊サンケイ』の1973年12月28日号に寄稿された短い文章です。
「スケールや感覚のおもしろさで選んだ」と書かれており、「ポルノ・ピンクはおとな向け童話では絶対不可欠。性に対する昔の人のおおらかさを尊重したい」と手塚治虫の表現への強い意思も示されています。この記事ではそんな手塚治虫の選んだ大人のための童話10作を紹介いたします。
なお、同じく『手塚治虫エッセイ集7』のなかには、「私が選んだ海外SFベスト10」というエッセイがあり、手塚治虫のおすすめする海外SF小説10作が紹介されています。そちらについては以下の記事にまとめてありますので、よろしければあわせてお読みください。
旧約聖書
罪を犯して神から追放を受けた人類とその人類に対する神の救いが聖書全体をつらぬく問題であるとすれば、旧約巻頭のこの書こそ、その問題への出発点である。天地の創造、人類のはじまり、楽園追放、ノアの洪水、その子孫の増加、そしてイスラエル民族の祖先たちの罪と罰の記録。次々に壮大な神と人類の物語が展開されてゆく。
(『旧約聖書 創世記』の紹介文を岩波書店HPより引用)
『ジャングル・ブック』ラドヤード・キプリング
森の洞穴に現れた人間の赤ちゃんは、母オオカミ・ラクシャに預けられて、オオカミの群れの中で育てられた。その少 年モウグリを主人公に、ヒグマのバルーと黒ヒョウのバギーラ、モウグリをさらったサル族、岩ニシキヘビで知恵者のカー、人間を恨みモウグリの命を奪おうと するトラのシア・カーンなど、「ジャングルの掟」とともに厳しく生きる者たちを描く永遠の名作、新訳で復活!
(新潮社HPより引用)
『たのしい川べ』ケネス・グレーアム
人里はなれた静かな川べで素朴な暮らしを楽しんでいるモグラやカワウソたち。わがままで好奇心旺盛なヒキガエル。小さな動物たちがくりひろげるほほえましい事件の数々を、詩情ゆたかに描いた田園ファンタジー。
(岩波書店HPより引用)
『バートン版 千夜一夜物語』
花園の中の噴水のほとりで、たぐい稀な美貌の王妃と従う女たちは着物をぬぎすてた。そこに同じ数の男たちが挑みかかり、抱擁し交会し、いつ果てるともない淫欲に耽り始めた…妃の不倫に怒り苦しむシャーリヤル王は、夜ごと一人の処女と交わり、あくる朝に殺すようになる。大臣の聡明な娘シャーラザッドは、みずから王のもとに上り、世にも不思議な物語を夢のように紡ぎはじめてゆく。世界の奇書バートン版からの名訳に、古沢岩美の華麗な挿絵を付す。
(『バートン版 千夜一夜物語 第1巻』の紹介文を筑摩書房HPより引用)
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの絢爛にして切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な醍醐味をあますところなく披露する。
『山椒魚戦争』カレル・チャペック
赤道直下のタナ・マサ島「魔の入江」には二本足で子供のような手を持った真黒な怪物が沢山棲んでいた。無気味な姿に似ずおとなしい彼等は、やがて人間の指図のままに様々な労働を肩替りし始める……。奇抜な着想のこの諷刺小説で、作者は現代における人類の愚行を鋭く衝き、科学・技術の発達が人類に何を齎すか、と問いかける。
(岩波書店HPより引用)
『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
ある昼下がりのこと、チョッキを着た白ウサギを追いかけて大きな穴にとびこむとそこには……。アリスがたどる奇妙で不思議な冒険の物語は、作者キャロルが幼い三姉妹と出かけたピクニックで、次女のアリス・リデルにせがまれて即興的に作ったお話でした。1865年にイギリスで刊行されてから、世界中で読まれた傑作ファンタジーを、金子國義のカラー挿画でお届けするオリジナル版。
(新潮社HPより引用)
『ガリバー旅行記』ジョナサン・スウィフト
寝ている間に手足と体をしばられ、台車にのせられて小人国の都につれてこられたガリバー。小山のような人間に、都は大さわぎ! 左足を鎖でつながれたガリバーは、小さな皇帝と会うが……。
(KADOKAWAHPより引用)
『西遊記』
東勝神洲傲来国は花果山にて石の卵から生れたサル、やがて仙術を身につけ故郷で王様になるも飽き足らず、招かれ出向いた天界では札付きの問題児。不老長生の蟠桃を盗み食い、玉帝の宴席を荒らして大暴れ、とうとう如来さまの手で山に封じられる。おなじみ孫悟空が新たな力を得ての活躍ぶり、まずはその誕生の様子から。
(『西遊記 1』の紹介文を岩波書店HPより引用)
『狐の裁判』(『きつねのライネケ』)ゲーテ
ヨーロッパに古くから伝わる物語。ライオン王ノーベルの治める森では、狼、くま、ねこ、にわとり、うさぎと、あらゆる動物たちが、悪がしこいライネケにひどい目にあわされている。言葉たくみに王をだまし、死刑をのがれたライネケは……。ゲーテが叙事詩の形で再話したものを、児童向けに編訳。
(岩波書店HPより引用)
まとめ
以上、手塚治虫のおすすめする大人のための童話10作でした。気になった作品があった方はぜひ手にとってみていただければと思います。