【4大ランキング集計】横山秀夫のおすすめミステリ小説ランキング

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この記事では、横山秀夫のミステリ小説をランキング形式で紹介いたします。ランキングの指標には、ミステリ業界で毎年恒例となっている4大ミステリランキングを用います。具体的には以下の4つです。

・「週刊文春ミステリーベスト10」(1977年~)
・「このミステリーがすごい!」(1988年~)
・「本格ミステリ・ベスト10」(1997年~)
・「ミステリが読みたい!」(2008年~)

これら4つのランキングにおいて、当該作品が1位の場合には10点2位の場合には9点3位の場合には8点……10位の場合には1点を付与します。作品ごとに点数を集計し、合計点数の高いものを上位として順位をつけていきます。

横山秀夫の全作品のうち、今回得点の対象となった作品は全部で8作です。1位から5位まではあらすじを含めて紹介し、6位以下は一覧表で確認できるようにまとめました。

上位の作品ほど複数のランキングで高く評価されたことになるため、きっと客観的な指標として役に立つと思います。これから横山秀夫の小説を読みたいと考えている方にとって参考になれば幸いです。

第1位:『64』 29点

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
(「BOOK」データベースより引用)

第1位は、2012年に刊行された長編『64』です。得点は29点。「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」で1位を獲得し2冠制覇、「ミステリが読みたい!」でも2位ときわめて高い評価を得ました。デビュー以来書き継いでいる「D県警」シリーズの一作で、シリーズ初の長編です。7日間で終わった「昭和64年」に起きた少女誘拐殺人事件をめぐるミステリで、1987年に実際に起きた「功明ちゃん誘拐事件」がモデルとされています。ミステリランキングを席巻したのみならず、第10回本屋大賞でも第2位に選ばれ、2016年には英訳版が英国推理作家協会主催のインターナショナル・ダガー賞の最終候補にもなりました。まさに著者の代表作といっていい一作でしょう。

第2位:『ノースライト』 28点

一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。
(新潮社HPより引用)

第2位は、2019年刊行の長編『ノースライト』です。得点は28点。「週刊文春ミステリーベスト10」で1位、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」で2位となり、高得点を叩きだしました。一級建築士の主人公が設計した新築の家「Y邸」──そこに住むはずだった家族が一脚の椅子だけを残して失踪した謎をめぐるミステリです。著者得意の警察小説ではなく、「家」「建築」を題材にして新境地を拓き、家族の機微を丁寧に描いた傑作に仕上がっています。

第3位:『半落ち』 20点

「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの2日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは──。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。
(講談社HPより引用)

第3位は、2002年に刊行された長編『半落ち』です。得点は20点。「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」でともに1位を獲得し、2冠を制覇しています。アルツハイマー病の妻を殺害し自首した男が、殺害から自首までの「空白の2日間」のことだけは頑な語ろうとしない──その謎と裏に隠されたドラマを、事件に関わる人々の視線で描いていくミステリです。第128回直木賞の選考結果をめぐり、最終的に著者が直木賞に訣別宣言をするに至ったことでも有名な一作です。

第4位:『動機』 17点

署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠玉の四篇を収録。
(文藝春秋BOOKSより引用)

第4位は、2000年に刊行された短編集『動機』です。得点は17点。「このミステリーがすごい!」で2位、「週刊文春ミステリーベスト10」で3位と上位に入り、高得点を獲得しました。表題作の「動機」はD県警シリーズの一作で、警察署内で警察手帳が紛失した事件をめぐるミステリ。この作品で著者は第53回推理作家協会賞(短編部門)を受賞しました。そのほかの短編もそれぞれにレベルが高く、ミステリランキングでの評価を踏まえても、横山秀夫の出世作といってよい作品集です。

第5位:『震度0』 16点

阪神大震災の朝、N県警本部警務課長・不破義人が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか? キャリア、準キャリア、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が、複雑に交錯する……。組織の本質を鋭くえぐる長編警察小説。
(朝日新聞出版HPより引用)

第5位は、2005年刊行の長編『震度0』です。得点は16点。「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」の両方で3位と、高評価を得ています。1995年、阪神淡路大震災が起きた朝に、N県警本部警務課長が失踪した謎をめぐるミステリです。著者お得意の警察小説ですが、刑事が事件を追うさまを描く一般的な意味での警察小説ではなく、警察内部の人間模様を描くことに注力した作品となっています。

1点以上を獲得した作品全8作のランキングは以下のとおりです。各ミステリランキングの名称はスペースの都合上、略して書いています。各ランキングの順位で空欄になっているマスは10位圏外、「ー」はランキング開始前を表しています。なお、スマホの方は表を横にスクロールできます

順位点数タイトル文春このミス本格ミス読み
1位29点641位1位2位
2位28点ノースライト1位2位2位
3位20点半落ち1位1位
4位17点動機3位2位
5位16点震度03位3位
6位14点クライマーズ・ハイ1位7位
7位12点第三の時効6位4位
8位2点臨場9位

まとめ

以上、4大ミステリランキングの結果から独自集計した、横山秀夫のミステリ小説ランキングでした。それほど多作ではない横山秀夫ですが、ひとたび作品を発表すればミステリランキングを席巻。作風上「本格ミステリ・ベスト10」における得票がほとんど望めないなかでも、さすがの強さを見せる集計結果となりました。ぜひ横山秀夫の作品を選ぶ際の参考にしていただければと思います。