『タイム』誌が選ぶ史上最高のミステリ&スリラー小説ベスト100

著名人の選書・出版社のフェアなど

2023年、アメリカの著名なニュース雑誌『タイム』が「史上最高のミステリ&スリラー小説ベスト100」(The 100 Best Mystery and Thriller Books of All Time)というリストを公開しました。これは7人の著名な作家と『タイム』のスタッフらによって選定されたリストで、英語で出版された小説を対象にしたものです。順位はつけられておらず、時代が古い順番に並べられています。

本記事では、各作品の刊行された年を記載しながら、時代を10年ごとに区切って(19世紀の作品は「19世紀」でまとめています)全100作を並べてみました。老舗のニュース雑誌が選ぶミステリのオールタイムベストがどのようなラインナップになっているか、ぜひチェックしてみてください。

参照元のサイトは以下のとおりです。

19世紀(4作)

『白衣の女』ウィルキー・コリンズ(1860年)

暑熱去らぬ夏の夜道、「ロンドンに行きたい」と声をかけてきた白ずくめの女。絵画教師ハートライトは奇妙な予感に震えた-。発表と同時に一大ブームを巻き起こし社会現象にまでなったこの作品により、豊饒な英国ミステリの伝統が第一歩を踏み出した。ウィルキー・コリンズ(1824-89)の名を不朽のものにした傑作。
(岩波書店HPより引用)

『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー(1866年)

鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。
(新潮社HPより引用)

『リーヴェンワース事件』アンナ・キャサリン・グリーン(1878年)

※日本では『世界推理小説大系〈第6〉』(東都書房)に収録されていますが、現在は非常に入手困難です。

『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ(1898年)

イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
(新潮社HPより引用)

1900年代(1作)

『バスカヴィル家の犬』アーサー・コナン・ドイル(1901年)

名家バスカヴィル家の当主が怪死を遂げた。激しくゆがんだ表情を浮かべた死体の近くには巨大な犬の足跡があり、土地の者は全身から光を放つ巨大な生き物を目撃していた。それらの事実が示唆するのは、忌まわしい〈バスカヴィル家の犬〉の伝説にほかならなかった……。寂莫とした荒れ地(ムーア)を舞台に展開する、恐怖と怪異に満ちた事件の行方は? シリーズ屈指の傑作長編、新訳決定版。
(東京創元社HPより引用)

1920年代(3作)

『アクロイド殺し』アガサ・クリスティ(1926年)

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作、新訳で登場。
(早川書房HPより引用)

『The Crime at Black Dudley』マージェリー・アリンガム(1929年)

※未邦訳の作品です。

『夜間病棟』ミニオン・G・エバハート(1929年)

古めかしい病院の“十八号室”を舞台に医師、看護婦、患者達を翻弄する事件にオリアリー警部が挑む! アメリカ探偵作家クラブ巨匠賞受賞作家の長編デビュー作!!!
(「BOOK」データベースより引用)

1930年代(7作)

『マルタの鷹』ダシール・ハメット(1930年)

ある若い女性が私立探偵サム・スペードに依頼したのは、駆け落ちした妹を連れ戻すことだった。ところが駆け落ち相手だという男を尾行していたスペードの相棒も対象の男も殺されてしまう。依頼人は何か隠している……。そしてスペードは、謎めいた女と鷹の像をめぐる抗争に巻き込まれていく。非情を貫くハードボイルドの原点にして完成形ともいうべき傑作を名手による新訳で贈る!
(東京創元社HPより引用)

『The Conjure-Man Dies』ルドルフ・フィッシャー(1932年)

※未邦訳の作品です。

『アレン警部登場』ナイオ・マーシュ(1934年)

パーティの余興だった「殺人ゲーム」で本当に人が殺された! 一見警官らしからぬロデリック・アレン警部は謎を解き明かせるのか。黄金時代に活躍した四大女性作家のひとり、ナイオ・マーシュのデビュー作が遂に邦訳。
(論創社HPより引用)

『学寮祭の夜』ドロシー・L・セイヤーズ(1935年)

母校オクスフォードの学寮祭に出席した探偵作家ハリエットは、神聖たるべき学舍で卑劣な中傷の手紙に遭遇する。思い出は傷ついたが、後日、匿名の手紙が学内を騒がせているとの便りが舞いこむ。ピーター卿は遠隔の地にあり、彼女は単独調査へ駆り出される羽目に。純然たる犯人捜しと人生への洞察が奏でる清新な響き。著者畢生の大長編! ピーター卿シリーズ第10弾。
(東京創元社HPより引用)

『三つの棺』ジョン・ディクスン・カー(1935年)

ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れる。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた! しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ!
(早川書房HPより引用)

『レベッカ』ダフネ・デュ・モーリア(1938年)

ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た──この文学史に残る神秘的な一文で始まる、ゴシックロマンの金字塔、待望の新訳。海難事故で妻を亡くした貴族のマキシムに出会い、後妻に迎えられたわたし。だが彼の優雅な邸宅マンダレーには、美貌の先妻レベッカの存在感が色濃く遺されていた。彼女を慕う家政婦頭には敵意の視線を向けられ、わたしは不安と嫉妬に苛まれるようになり……。
(新潮社HPより引用)

『ディミトリオスの棺』エリック・アンブラー(1939年)

派手なアクションを避け、地道にスパイの心理を追うスパイ小説の王道を切り開いたアンブラーの初期の代表作。「探偵小説味のある作品を書いている現役の作家で、文学者として最も優れた人は誰かと考えてみると、英のグレアム・グリーン、仏のジョルジュ・シムノン、それから英のエリック・アンブラー、この三人が特別に際立っている」江戸川乱歩はこう書いた。イスタンブールを訪れた英国人作家ラティマーは、秘密警察長官から、国際的犯罪者ディミトリオスが死んだことを聞かされる。だが、ディミトリオスの死体を眺めているうちに、ラティマーはこの男の謎につつまれた過去を洗ってみようという衝動にかられた。
(Amazonより引用)

1940年代(4作)

『殺人保険』ジェイムズ・M・ケイン(1943年)

ロスアンジェルスの石油商ナードリンガーが列車から転落して死亡した。彼には、本人も知らないうちに傷害保険がかけられていた。しかも、鉄道事故には倍額の割増金が支払われることになっている。単なる事故死か、自殺か、それとも他殺なのか? 非情苛烈なアメリカ社会に浮沈する人間心理の行方を、スピード感あふれるタッチで追及するハード・ボイルド派ミステリーの代表作。
(新潮文庫裏表紙より引用)

『If He Hollers Let Him Go』チェスター・ハイムズ(1945年)

※未邦訳の作品です。

『本陣殺人事件』横溝正史(1947年)

一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴”おしどり”が……。密室トリックに挑み、第一回探偵作家クラブ賞を受賞した名作。
(KADOKAWAHPより引用)

『孤独な場所で』ドロシイ・B・ヒューズ(1947年)

若い女はバスから降りてくるところだった。魅力的な美人だ。彼はすぐにはあとをつけなかった。最初はそのつもりすらなかったのだが、それは自分の意志とは無関係に起こっていた。彼女には近づいてくる足音が聞こえている。彼は大股の足取りになった。彼女はおびえている。なんなく追いつけるだろうー戦争から戻ったディックスは、女性を狙う連続殺人鬼となっていた。東海岸から華やかなハリウッドへやってきて、大胆不敵に犯行を重ねる彼が、次に目をつけた獲物とは? ハンフリー・ボガートが、自ら製作・主演した名作サスペンス映画の原作。
(「BOOK」データベースより引用)

1950年代(8作)

『時の娘』ジョセフィン・テイ(1951年)

英国史上最も悪名高い王、リチャード三世。彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリ不朽の名作。
(早川書房HPより引用)

『死の月』シャーロット・ジェイ(1952年)

※作品の紹介文を見つけられなかったため、商品リンクのみです。

『007/カジノ・ロワイヤル』イアン・フレミング(1953年)

イギリスが誇る秘密情報部で、ある常識はずれの計画がもちあがった。ソ連の重要なスパイで、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルを打倒せよ。彼は党の資金を使いこみ、高額のギャンブルで一挙に挽回しようとしていた。それを阻止し破滅させるために送りこまれたのは、冷酷な殺人をも厭(いと)わない007のコードをもつ男──ジェームズ・ボンド。007初登場作を新訳でリニューアル!
(東京創元社HPより引用)

『死の接吻』アイラ・レヴィン(1953年)

二人は学生同士の恋人だった。女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。彼女をなんとかしなければならない。おれには野心があるのだ──冷酷非情のアプレゲール青年の練りあげた戦慄すべき完全犯罪。当時弱冠二十三歳の天才作家の手になる恐るべき傑作! アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。
(早川書房HPより引用)

『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー(1953年)

私立探偵フィリップ・マーロウは、ふとした友情から見も知らぬ酔漢テリーを二度も救ってやった。そして彼はテリーの殺害容疑を晴らす為に三たび立ち上るのだった! ハードボイルド派の王座を占めるチャンドラーが五年間の沈黙を破り発表した畢生の傑作、一九五四年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞受賞作。
(早川書房HPより引用)

『狙った獣』マーガレット・ミラー(1955年)

莫大な遺産を継いだヘレンに、友人を名乗る謎めいた女から突然電話がかかってきた。最初は穏やかだった口調は徐々に狂気を帯び、ついには無惨な遺体となったヘレンの姿を予見したと告げる。母とも弟とも断絶した孤独なヘレンは、亡父の相談役だったコンサルタントに助けを求めるが……米国随一の心理ミステリの書き手による、古典的名作の呼び名も高いMWA最優秀長編賞受賞作。
(東京創元社HPより引用)

『おとなしいアメリカ人』グレアム・グリーン(1955年)

ヴェトナム戦争直前のサイゴンで水死体となって発見された一人のアメリカ人青年の死の真相を、友人の英国人記者ファウラーは静かに回想していく──若いアメリカと老獪な欧州の報われない邂逅を描き著者の転換点となった記念碑的名作。
(早川書房HPより引用)

『太陽がいっぱい』パトリシア・ハイスミス(1955年)

息子ディッキーを米国に呼び戻してほしいという富豪の頼みを受け、トム・リプリーはイタリアに旅立つ。トムはディッキーに心を惹かれ、やがてそのすべてを求めてある決断をする……ハイスミスの代表作!
(河出書房新社HPより引用)

1960年代(2作)

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン(1962年)

あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている……。悪意に満ちた外界に背を向け、空想が彩る閉じた世界で過ごす幸せな日々。しかし従兄チャールズの来訪が、美しく病んだ世界に大きな変化をもたらそうとしていた。“魔女”と呼ばれた女流作家が、超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作。
(東京創元社HPより引用)

『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ(1963年)

ベルリンの壁を境に展開される英独諜報部の熾烈な暗闘を息づまる筆致で描破! 作者自身情報部員ではないかと疑われたほどのリアルな描写と、結末の見事などんでん返しとによってグレアム・グリーンに絶賛され、英国推理作家協会賞、アメリカ探偵作家クラブ賞両賞を獲得したスパイ小説の金字塔!
(早川書房HPより引用)

1970年代(3作)

『子供たちはどこに』メアリー・ヒギンズ・クラーク(1975年)

夫の声が聞こえる──ナンシー、どうしたんだ? 子供たちはどこにいる? 七年前の実子殺害容疑は、証人が姿を消したため、かろうじて有罪を免れた。頼もしい男と出会い、二人の子供に恵まれ、忌まわしい過去を振り捨てて、新しい生活が始まった。しかし、またもや子供たちは、いなくなった。吹きすさぶ嵐のなか、息づまる恐怖とサスペンスが、容赦なくあなたの心を締めつける。
(新潮文庫裏表紙より引用)

『シャイニング』スティーヴン・キング(1977年)

《景観荘(オーバールック)》ホテルはコロラド山中にあり、美しいたたずまいをもつリゾート・ホテル。だが冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに作家とその妻、5歳の息子が一冬の管理人として住み込んだ。S・キューブリックによる映画化作品でも有名な「幽霊屋敷」ものの金字塔が、いま幕を開ける!
(文藝春秋BOOKSより引用)

『さらば甘き口づけ』ジェイムズ・クラムリー(1978年)

酔いどれの私立探偵スルーはカリフォルニア州の酒場で、捜索を依頼されたアル中作家トラハーンを見つけた。が、トラハーンは怪我のため入院することになった。足止めをくったスルーは、そこで、酒場のマダムからの別の依頼を引き受けた。依頼は、10年前に姿を消したきり行方の知れない娘を捜してほしいというものだった。病院を抜け出してきたトラハーンとともに娘の足跡をたどり始めたスルーの前に、やがて、女優志望だった娘の10年間の哀しい軌跡が浮かびあがってきた…。さまざまな傷を負った心を詩情豊かに描く現代ハードボイルドの傑作。
(紀伊國屋書店ウェブストアより引用)

1980年代(5作)

『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ(1980年)

中世イタリアの修道院で起きた連続殺人事件。事件の秘密は知の宝庫ともいうべき迷宮の図書館にあるらしい。記号論学者エーコがその博学で肉づけした長編歴史ミステリ。全世界で異例の大ベストセラーとなった話題作。
(東京創元社HPより引用)

『レッド・オクトーバーを追え』トム・クランシー(1984年)

処女航海で乗っ取られ、亡命の途についたソ連新型原潜をめぐり大西洋上に展開される米英ソの争奪戦! 現代戦のハイ・テクのすべてを盛りこんだ海洋軍事冒険小説。
(文藝春秋BOOKSより引用)

『死との抱擁』バーバラ・ヴァイン(1986年)

ヴェラ・ヒリヤードの死期は、時間と分に至るまで、あらかじめはっきりとわかっていた。彼女は絞首刑に処せられたのだ、殺人罪で。平凡な中流家庭に生れ、幸福な結婚をしたはずのヴェラが、なぜ殺人を犯すに至ったのか? そして、まるで母と子のように仲むつまじかった、妹イーディンと彼女の間に何が起きたのか? 作者の精緻な筆が闇の迷宮に踏みいるとき、暗黒の底からある異常な物語が浮かびあがってくる。レンデルが別名義のもとに満を持して放つ意欲作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞。
(「BOOK」データベースより引用)

『十角館の殺人』綾辻行人(1987年)

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。
(講談社HPより引用)

『羊たちの沈黙』トマス・ハリス(1988年)

獲物の皮を剥ぐことから“バッファロウ・ビル”と呼ばれる連続女性誘拐殺人犯が跳梁する。要員不足に悩まされるFBIが白羽の矢を立てたのは訓練生クラリス・スターリング。彼女は捜査に助言を得るべく、患者を次々に殺害して精神異常犯罪者用病院に拘禁されている医学博士ハンニバル・レクターと対面するが──。1980年代末からサスペンス/スリラーの潮流を支配する“悪の金字塔”!
(新潮社HPより引用)

1990年代(16作)

『ブルー・ドレスの女』ウォルター・モズリイ(1990年)

1948年、ロサンゼルス。失業中の黒人労働者イージーは、家のローンを返済するため、美貌の白人女性ダフネを捜しだす仕事を引き受けた。調査を始めたイージーは、ダフネが出入りしていたもぐり酒場を訪れ、彼女の知人の黒人女性を見つけ出した。が、数日後、その女性が殺され、事件は思わぬ方向へ―アメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞新人賞を受賞し、ミステリ界に旋風を巻き起こした衝撃のデビュー作。
(紀伊國屋書店ウェブストアより引用)

『Mean Spirit』リンダ・ホーガン(1990年)

※未邦訳の作品です。

『検屍官』パトリシア・コーンウェル(1990年)

襲われた女性たちは皆、残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。バージニア州都リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に、全市が震え上がっていた。犯人検挙どころか、警察は振回されっ放しなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官ケイにも魔の手が──。MWA処女作大賞受賞の傑作長編。1992年週刊文春ミステリーベスト10(海外部門)第1位。
(講談社HPより引用)

『殺人者の顔』ヘニング・マンケル(1991年)

雪の予感がする早朝、動機不明の二重殺人が発生した。男は惨殺され、女も「外国の」と言い残して事切れる。片隅で暮らす老夫婦を、誰がかくも残虐に殺害したのか。燎原の火のように燃えひろがる外国人排斥運動の行方は? 人間味溢れる中年刑事ヴァランダー登場。スウェーデン警察小説に新たな歴史を刻む名シリーズの開幕!
(東京創元社HPより引用)

『Dead Time』エレノア・テイラー・ブランド(1992年)

※未邦訳の作品です。

『シークレット・ヒストリー』ドナ・タート(1992年)

故郷カリフォルニアで医学部を挫折したリチャードは東部ヴァーモント州のハンプデン・カレッジに編入学する。古代ギリシア語を学ぼうとジュリアン・モロー教授の門を叩くが、あっけなく断られてしまう。あきらめかけた彼はふとしたきっかけでジュリアンのクラスの学生5人と知り合い、ギリシア語の実力を認められ、やっとジュリアンにも受け入れられる。ところが外部との接触をいっさい断った私塾のようなクラスでの毎日が続くうち、リチャードは古代ギリシアのバッコス祭にまつわるおぞましい事件に遭遇する…。
(「BOOK」データベースより引用)

『スミラの雪の感覚』ペーター・ホゥ(1992年)

雪のコペンハーゲン。イヌイットの血をひき、雪と氷と孤独を愛する女性、スミラ。友人の少年が雪の屋根から転落死する。が、雪が「読める」スミラに残された足跡は告げる、これは事故ではない―。真相を追う彼女にかかる検察の圧力。無言の脅し。そして、スミラが単身乗り込んだ謎の船は、氷に閉ざされたグリーンランドへ…。全く新しいヒロイン像が欧米で爆発的にヒットした、北欧産海洋冒険ミステリー。
(紀伊國屋書店ウェブストアより引用)

『When Death Comes Stealing』ヴァレリー・ウィルソン・ウェズリィ(1994年)

※未邦訳の作品です。

『カムバック・ヒーロー』ハーラン・コーベン(1996年)

選手としてチームに入り、失踪したスター選手を探し出せ? バスケットボールのチーム・オーナーの依頼にスポーツ・エージェントのマイロンは愕然とした。選手をやめてから十年たつというのに。が、当の選手は彼の昔のライヴァルだった。マイロンは調査を始めるが、やがて彼自身の過去を掘り起こすことに…トラブルも軽口でかわすマイロンの爽快な活躍。アメリカ探偵作家クラブ賞、アメリカ私立探偵作家クラブ賞受賞作。
(「BOOK」データベースより引用)

『キリング・フロアー』リー・チャイルド(1997年)

ジャック・リーチャー。元軍人。仕事も家族も、友人さえも持たずただ一人放浪する男。伝説のギター奏者の面影を求めて訪れたジョージアの田舎町で身に覚えのない殺人容疑をかけられ、刑務所で殺されかかった彼は、自分を狙う何者かの意志を察知する。刊行と同時に全米マスコミの絶賛を浴びたアクション巨編!
(講談社HPより引用)

『レディ・ジョーカー』高村薫(1997年)

空虚な日常、目を凝らせど見えぬ未来。五人の男は競馬場へと吹き寄せられた。未曾有の犯罪の前奏曲が響く──。その夜、合田警部補は日之出ビール社長・城山の誘拐を知る。彼の一報により、警視庁という名の冷たい機械が動き始めた。事件に昏い興奮を覚えた新聞記者たち。巨大企業は闇に浸食されているのだ。ジャンルを超え屹立する、唯一無二の長篇小説。毎日出版文化賞受賞作。
(新潮社HPより引用)

『Morituri』ヤスミナ・カドラ(1997年)

※未邦訳の作品です。

『OUT』桐野夏生(1997年)

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか? 犯罪小説の到達点!
(講談社HPより引用)

『エンジェル・シティ・ブルース』ポーラ・L・ウッズ(1999年)

黒人の白人警官に対する憎悪が頂点に達し、暴動が発生―ロス市警の女性刑事ジャスティスは鎮圧に乗り出すが、暴動の最中、殺人事件が起きてしまう。しかも、被害者は、十数年前に彼女の夫と娘を射殺した黒人解放組織の元幹部だった。千々に乱れる思いの中、ジャスティスは事件の真相を追うが…。汚れた街を吹き抜ける荒荒しくも美しい一陣の風。深き心の傷に負けないニュー・ヒロインが活躍するマカヴィティ賞受賞作。
(紀伊國屋書店ウェブストアより引用)

『処刑の方程式』ヴァル・マクダーミド(1999年)

1963年冬、イギリスのダービーシャー州の寒村から、13歳の少女アリスン・カーターが消えた。さっそく警察は捜索を開始するが、少女の行方は不明のまま。住民は無口で、よそ者に心を開かない。若き警部ジョージ・ベネットは殺人事件と考え、ついに被疑者を拘留する。死体なき裁判が始まった…。『殺しの儀式』でCWAゴールド・ダガー賞を受賞した作家の、話題の新作ミステリー。
(「BOOK」データベースより引用)

『Those Bones Are Not My Child』トニ・ケイド・バンバーラ(1999年)

※未邦訳の作品です。

2000年代(20作)

『Blanche Passes Go』バーバラ・ニーリイ(2000年)

※未邦訳の作品です。

『上海の紅い死』ジョー・シャーロン(2000年)

黒髪を揺らめかせ、運河に浮かぶ女の骸─上海警察殺人課の陳操警部は、全裸死体の身元が共産党から模範労働者に選ばれた関紅英という女性であることを突き止める。万人に崇敬されていた彼女がなぜこのような無残な死を遂げたのか?彼女が死の直前に旅に出ていた事実を知った陳は、その跡を辿りはじめる。やがて彼は、背後に潜む男の存在と、聖女の裏に隠された素顔に直面する…アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作。
(「BOOK」データベースより引用)

『コマドリの賭け』ジョー・ネスボ(2000年)

閑職に異動になった警部ハリーは、高性能狙撃ライフルが密輸入された形跡を見つけ、手掛かりを追う──。『ネメシス 復讐の女神』『悪魔の星』へと続く壮大な物語の幕開け。シリーズの根幹となる作品が満を持して登場。
(集英社HPより引用)

『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン(2001年)

境遇を越えて友情を育んできた、ショーン、ジミー、デイヴ。が、十一歳のある日、デイヴが警官らしき男たちにさらわれ、少年時代が終わる。四日後、デイヴは戻ってきたが、何をされたのかは明らかだった。それから二十五年後、ジミーの十九歳の娘が惨殺された。事件を担当するのは刑事となったショーン。そして捜査線上にデイヴの名が……少年時代を懐かしむ大人たちに捧げる大作ミステリ。
(早川書房HPより引用)

『風の影』カルロス・ルイス・サフォン(2001年)

1945年バルセロナ。霧深い夏の朝、少年ダニエルは父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で1冊の本に出会った。謎の作家、都市の迷宮…。歴史、冒険、ロマンスあふれる世界的大ベストセラー。
(集英社HPより引用)

『外科医』テス・ジェリッツェン(2001年)

意識のある女性の腹部から子宮を抉り取り、苦しむさまを楽しんでから首を掻き切る連続殺人事件が発生する。数年前に同様の事件が起きていたが、その犯人は最後の被害者によって射殺されていた。その生き残った被害者——美貌の女医——こそが、殺人鬼の真の標的だった……。猟奇殺人事件を題材にした小説は数あれど、犯人の「鮮血」に対する執着と、まさに現代社会の盲点をつくその正体の不気味さは、類を見ない。ロマンスと医学サスペンスが織りなす戦慄のミステリ。
(文藝春秋BOOKSより引用)

『オーシャン・パークの帝王』スティーヴン・L・カーター(2002年)

ロー・スクールで教鞭をとるタルコットのもとに、アメリカ法曹界の権力者で“オーシャン・パークの帝王”と呼ばれた父親の急死の知らせが届いた。死因は心臓発作だったが、タルコットの姉だけは、父親は殺されたと、頑なに主張していた。葬儀の日、父親の旧友で悪い噂の絶えないジャックが現われたことから不穏な空気が漂いはじめる。彼はタルコットに父親が遺した“手筈”のことを教えろと迫ってきた。父親は何かの陰謀に巻き込まれていたのだろうか? まもなく、タルコットは父親の書斎のなかで見つけた、チェス・セットから白と黒のポーンが欠けているのに気づいた。さらに彼は何者かに尾行されるようになる。タルコットは父親の死の真相と“手筈”の意味を探るが…。全米マスコミを驚愕させた超大型デビュー作。
(「BOOK」データベースより引用)

『荊の城』サラ・ウォーターズ(2002年)

19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、故買屋の一家とともに暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。『半身』のウォーターズ、待望の第2弾。
(東京創元社HPより引用)

『氷姫』カミラ・レックバリ(2003年)

海辺の古い邸で凍った美しい女の全裸死体が見つかり、小さな町を震撼させた。被害者が少女時代の親友でもあった作家エリカは、幼馴染の刑事パトリックと共に捜査に関わることに。20年以上疎遠だった親友の半生を辿ると、恐るべき素顔が覗く。画家、漁師、富豪…町の複雑な人間模様と風土に封印された衝撃の過去が次々明らかになり、更に驚愕の…。戦慄と哀歓。北欧ミステリの新星、登場。
(「BOOK」データベースより引用)

『2666』ロベルト・ボラーニョ(2004年)

小説のあらゆる可能性を極め、途方もない野心と圧倒的なスケールで描く、戦慄の黙示録的世界。現代ラテンアメリカ文学を代表する鬼才が遺した、記念碑的大巨篇! 2008年度全米批評家協会賞受賞。

『探偵ブロディの事件ファイル』ケイト・アトキンソン(2004年)

フランスに住むことを夢見る、バツイチ探偵ブロディ。中年の変人姉妹に依頼された34年前に消えた当時3歳の妹捜し(死んだ父親の家を片付けたら、妹とともに消えたぬいぐるみが出てきたんです!)、猫屋敷からいなくなった(誰かがさらっていったんです)黒猫捜し、さえない男の妻の浮気調査(あいつがあんなにゴージャスな女をものにできたなんて!)等々。『世界が終わるわけではなく』のアトキンソンがミステリを書いたのです。
(東京創元社HPより引用)

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』スティーグ・ラーソン(2005年)

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。
(早川書房HPより引用)

『リンカーン弁護士』マイケル・コナリー(2005年)

高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが……警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。
(講談社HPより引用)

『容疑者Xの献身』東野圭吾(2006年)

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
(文藝春秋BOOKSより引用)

『スネークスキン三味線 庭師マス・アライ事件簿』ナオミ・ヒラハラ(2006年)

ラスヴェガスのカジノで五〇万ドルの大金を手にした日系人男性が殺された! 傍らには、壊された三味線がー。殺人容疑をかけられた親友G・Iの無実を晴らすべく、日系人庭師マス・アライがG・Iのガールフレンドで私立探偵のジャニタとコンビを組んで奔走する。オキナワの歴史と戦時中の日系人収容所での出来事が複雑に絡み合う、事件の裏に隠された根深い真相とは? 前作『ガサガサ・ガール』に続き、ユーモラスで強烈な個性を放つ「庭師マス・アライ事件簿」シリーズ第二弾。日系人初のアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。
(「BOOK」データベースより引用)

『暗黒街の女』ミーガン・アボット(2007年)

貧しい娘だったわたしは、ビジネススクールに通いながら怪しげなクラブで経理の仕事をしていた。そんなある日、わたしの前にグロリアという女性が現れた。エレガントな衣服を身にまとった彼女はギャングの幹部で、暗黒街で一目置かれる存在だった。何が気に入ったのか、彼女はわたしに仕事を手伝わせ始めた。わたしは賭博、運び屋などの仕事をこなして報酬を受け、彼女の信頼を勝ち取って、裏社会でしだいに顔を知られていく。が、ろくでなしのギャンブラーに心を奪われてしまい、大きく運命が変わることに…。情感豊かに描くノワールの逸品。MWA賞、バリー賞最優秀ペイパーバック賞受賞作。
(「BOOK」データベースより引用)

『女たちの真実』ローラ・リップマン(2007年)

それはありふれた自動車事故だった。加害者の中年女がこう言うまでは。「わたしはベサニー姉妹なの」ー30年前、15歳の姉と11歳の妹が忽然と消えた。警察の捜査もむなしく姉妹は見つからず、事件は忘れ去られたーこの女は主張どおり行方不明の姉妹の一人なのか? だとしたらいま名乗り出た真意は? 不可解な証言の中からやがて哀しくも恐ろしい事実が明らかに…華々しい受賞歴を誇る著者による女たちの秘密の物語。
(「BOOK」データベースより引用)

『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン(2007年)

安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始するー。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞三冠制覇。
(「BOOK」データベースより引用)

『Drive Your Plow Over the Bones of the Dead』オルガ・トカルチュク(2009年)

※未邦訳の作品です。

『Wife of the Gods』クワイ・クァーティ(2009年)

※未邦訳の作品です。

2010年代(21作)

『Bury Your Dead』ルイーズ・ペニー(2010年)

※未邦訳の作品です。

『葬送の庭』タナ・フレンチ(2010年)

駆け落ちの約束をした晩、ロージーは失踪した。そして20年以上経て発見された彼女のスーツケース。恋人だった刑事のフランクは、絶縁状態の家族の元へ戻り、真相を探る…。エドガー賞作家渾身のミステリー。
(集英社HPより引用)

キム・オンス『設計者』(2010年)

ある日突然、人が死ぬ。自然死でも病死でもなく、暗殺によって。事件性のない死として処理されるよう、設計者が綿密に計画を練り、暗殺者が実行するのだ。32年前、修道院のゴミ箱に捨てられた赤ん坊は、暗殺組織に引き取られ、やがて一流の暗殺者となる。人を殺し、殺され続けた果てに、彼が見たものとは…。さまざまな矛盾を孕むことでしか生きられない人間存在の哀しみを描いた、韓国エンターテインメント小説の最高傑作。
(「BOOK」データベースより引用)

『物が落ちる音』フアン・ガブリエル・バスケス(2011年)

ガルシア=マルケス以後の、新世代のラテンアメリカ文学を牽引するフアン・ガブリエル・バスケスの小説翻訳。ビリヤード場で知り合ったひとりの男、元パイロットだというその男はいったい何者なのか、そしてその過去は……? コロンビア―アメリカ合衆国間での麻薬取引を背景に、英雄に憧れたひとりのコロンビア人パイロットと、彼の妻となるアメリカ平和部隊隊員の過去を、コロンビア麻薬戦争の時代を体験した語り手が再構築する。
(松籟社HPより引用)

『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン(2012年)

ニックは三十四歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、二年前、妻エイミーとともに故郷ミズーリに帰ってきた。しかし都会育ちの妻にとってその田舎暮らしは退屈きわまるものだった。結婚五周年の記念日、エイミーが、突然、謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのない夫ニックに嫌疑がかけられる。夫が語る結婚生活と交互に挿入される妻の日記。異なるふたつの物語が重なるとき衝撃の真実が浮かび上がる。大胆な仕掛けと予想外の展開、「NYタイムズ」で第一位に輝いた話題のミステリ登場。
(「BOOK」データベースより引用)

『The Round House』ルイーズ・アードリック(2012年)

※未邦訳の作品です。

『64』横山秀夫(2012年)

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
(「BOOK」データベースより引用)

『ありふれた祈り』ウィリアム・ケント・クルーガー(2013年)

あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった──。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する。家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、フランクはそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが……。少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちた傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作!
(早川書房HPより引用)

『ささやかで大きな嘘』リアーン・モリアーティ(2014年)

最初は子供同士のトラブルだった。海辺の公立幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵り言葉と保護者の乱闘の音。そして保護者の一人が死亡した。事故か殺人か? ……事の起こりは六カ月前、シングルマザーのジェーンの息子にいじめの嫌疑がかかった。本人は否定するが、保護者は険悪な雰囲気に。ジェーンは二人の友人とともに事態に立ち向かう。31カ国で翻訳、英米で150万部突破の傑作ミステリ登場。
(東京創元社HPより引用)

『秘密にしていたこと』セレステ・イング(2014年)

少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。
(アストラハウスHPより引用)

『Land of Shadows』レイチェル・ハウゼル・ホール(2014年)

※未邦訳の作品です。

『シンパサイザー』ヴィエト・タン・ウェン(2015年)

「私はスパイです。冬眠中の諜報員であり、秘密工作員。二つの顔を持つ男──」捕らえられた北ベトナムのスパイは、独房で告白をつづる。息もつかせぬスパイ小説にして皮肉に満ちた文芸長篇。ピュリッツァー賞、エドガー賞最優秀新人賞など六冠に輝いた傑作!
(早川書房HPより引用)

『ブルーバード、ブルーバード』アッティカ・ロック(2017年)

田舎町でふたつの死体が発見された。黒人テキサス・レンジャーのダレンは現地に赴くが──。愛と憎悪、差別と正義を描き切り、現代アメリカの暗部をえぐる傑作ミステリ!
(早川書房HPより引用)

『Hollywood Homicide』ケリー・ギャレット(2017年)

※未邦訳の作品です。

『マイ・シスター、シリアルキラー』オインカン・ブレイスウェイト(2018年)

看護師のコレデは、妹アヨオラが犯す殺人に悩まされていた。誰からも好かれるアヨオラは、なぜか彼氏を殺してしまうのだ。コレデは妹の犯行の隠蔽を続けるが、捜査の手が姉妹に迫ってきて……。
(早川書房HPより引用)

『ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち』スジャータ・マッシー(2018年)

一九二一年、インド。ボンベイで唯一の女性弁護士パーヴィーンは女性だという理由で法廷に立てず、父親の法律事務所で事務弁護士として働いていた。ある日、父の顧客だった実業家の遺産管理のため、三人の未亡人たちが暮らす高級住宅地マラバー・ヒルの屋敷へ赴く。厳格なムスリムの彼女たちは女性居住区域に籠もり、男性との接触も許されていなかった。そして訪問の直後、屋敷で密室殺人が起きる。パーヴィーンは自身の心の傷と向き合いながら、事件解決のために奔走する。アガサ賞、メアリー・H・クラーク賞受賞、#MeToo時代の傑作歴史ミステリ!
(「BOOK」データベースより引用)

『ミラクル・クリーク』アンジー・キム(2019年)

小さな町ミラクル・クリークの治療施設で火災が発生し、二名が命を落とした。1年後、はじまった裁判は、施設の経営者一家、その患者、関係者たちの秘密を明らかにする……。エドガー賞最優秀新人賞&国際スリラー作家協会最優秀新人賞ほか新人賞三冠、心揺さぶる法廷ミステリ。
(早川書房HPより引用)

『The Need』ヘレン・フィリップス(2019年)

※未邦訳の作品です。

『The Other Americans』ライラ・ララミ(2019年)

※未邦訳の作品です。

『The Turn of the Key』ルース・ウェア(2019年)

※未邦訳の作品です。

『復讐の家』ステフ・チャ(2019年)

黒人少年射殺事件を発端に、人種間の緊張が高まるLA近郊。韓国系アメリカ人のグレイスは両親が営む薬局で働いている。一方、元ギャングの黒人ショーンは、今では更生して平穏な日々を送っていた。だが一発の銃弾が、両者の家族が抱えた暗い過去を呼び覚ます……。事件は様々な憶測を呼び、人々の怒りは町を引き裂きながら燃え広がっていく! LAタイムズ文学賞受賞。圧巻の社会派サスペンス。
(集英社HPより引用)

2020年代(6作)

『黒き荒野の果て』S・A・コスビー(2020年)

米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。裏社会で語り継がれる伝説のドライバーだった彼は、足を洗い家族とまっとうに暮らしていた。だが工場の経営が傾きだしたことで運命の歯車は再び狂い始める。金策に奔走するボーレガードに昔の仲間が持ちかけてきたのは宝石店強盗の運転役。それは家族を守るための最後の仕事になるはずだった。ギャングの抗争に巻き込まれるまでは——。
(ハーパーコリンズ・ジャパンHPより引用)

『ブート・バザールの少年探偵』ディーパ・アーナパーラ(2020年)

インドのスラムに住む、刑事ドラマ好きの九歳の少年ジャイ。突然行方不明になったクラスメイトを探すため、友だちと共に探偵団を結成し夜のバザールや地下鉄の駅を捜索するが、その後も子どもの失踪事件は続き──少年探偵の無垢な眼差しに映る、インド社会の闇を描いた傑作。

『メキシカン・ゴシック』シルヴィア・モレノ=ガルシア(2020年)

一九五〇年メキシコ。若き女性ノエミは、従姉から助けを求める異様な手紙を受け取る。彼女の嫁ぎ先である郊外の屋敷に赴いたノエミ。その地に住まう一族の秘密とは……世界中で激賞を浴びた新世代のゴシック・ホラー。

『ブルックリンの死』アリッサ・コール(2020年)

褐色砂岩の由緒ある住宅が並ぶブルックリンの一角。ここで育ったシドニーは、古くからの隣人がつぎつぎと新しい住民に入れ替わっているのに気づく。そんな中、彼女は地域の歴史探訪ツアーを新住民のセオと企画することになる。街の歴史を調べるうちに明らかにされたさらなる不穏な状況は、偶然と妄想の産物か、それとも危険な陰謀か。その驚くべき真相とは──都市再開発の負の側面を背景に描いたエドガー賞受賞スリラー。

『喪失の冬を刻む』デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン(2020年)

ローズバッド居留地に住むヴァージルは、ある日、居留地でヘロインを売ろうとしている男の噂を聞く。そして、彼の甥がヘロインの過剰摂取で倒れてしまい……新しい時代のヒーローを描く傑作ハードボイルド。
(早川書房HPより引用)

『Survivor’s Guilt』ロビン・ギグル(2022年)

※未邦訳の作品です。

リストについての所感

リストを見て思うのは、比較的新しい作品が多く選ばれている点です。日本でこういう企画をやると、どうしても古典的名作が多く選ばれるイメージがありますが、1990年代以降の作品だけで6割以上を占めており、新しい作品を積極的に選ぼうという意志を感じます。

当然というべきか、国別ではアメリカ人作家の作品がもっとも多く、イギリス人作家の作品が2番目に多いです。しかし、たとえば『シンパサイザー』のヴィエト・タン・ウェンはベトナム系アメリカ人、『マイ・シスター、シリアルキラー』のオインカン・ブレイスウェイトはナイジェリア系イギリス人、『ミラクル・クリーク』のアンジー・キムは韓国系アメリカ人など、ルーツの多様性はかなり意識して選ばれているように思います。女性作家の作品も多く、黒人作家の作品もいくつか選出されています。

日本人作家の小説は、『本陣殺人事件』横溝正史、『十角館の殺人』綾辻行人、『レディ・ジョーカー』高村薫、『OUT』桐野夏生、『容疑者Xの献身』東野圭吾、『64』横山秀夫と、6作が選出。非英語圏の国としては最多で、大健闘といえます。ほかに日本に関連するところでいうと、日系アメリカ人であるナオミ・ヒラハラの『スネークスキン三味線 庭師マス・アライ事件簿』が選ばれています。

意外にも選外になった作家では、エドガー・アラン・ポーがまっさきに思い浮かびます。史上初のミステリであり、世界初の名探偵オーギュスト・デュパンの登場作である『モルグ街の殺人』はどんなリストにも入りそうなものですが、短編は対象外だったのかもしれません。ほかに日本では非常に人気の高いエラリー・クイーンも選外となっています。本国ではすでに忘れられた作家だと言われることもあるので、こちらはさほど意外ではないかもしれません。

オールタイムベスト企画というのは、その対象がなんであれ、「なぜコレが入っていて、アレが選ばれていないのか」という意見が出るのは避けられませんが、ひとつの指標として楽しいものだと思います。リストのなかで気になる作品があった方はぜひ手にとって読んでみてください。