1974年、岩波書店が『新選 100冊の本 ─岩波文庫より─』という非売品の小冊子を刊行しました。これは15名の識者の投票・討議により、岩波文庫の収められている作品から100点を選出するという企画で、1961年に刊行された小冊子『100冊の本 ─岩波文庫より─』の改訂版です。
選者は、内田義彦、大江健三郎、加藤周一、辻邦生、都留重人、鶴見俊輔、寺田透、中野好夫、林達夫、藤沢令夫、益田勝実、松田道雄、丸山真男、湯川秀樹、吉川幸次郎の15名です。
この記事では、本企画で選出された100作を一覧表にまとめました。表は現在の文庫の帯の色ごとに分け、著者の五十音順に並べてあります。なお、日本人作家と海外作家が混在する表では、日本人作家を先に表記しています。
作品名のリンクからAmazonの商品ページに飛ぶことができます。リンク先は基本的には岩波文庫になっていますが、絶版かつ他の版元で入手しやすい作品の場合はそのかぎりではありません。
黄帯:日本文学(古典)(12作)
| タイトル | 著者 | 種類 |
|---|---|---|
| 『古今和歌集』 | ー | 和歌集 |
| 『古事記』 | ー | 歴史書 |
| 『新古今和歌集』 | ー | 和歌集 |
| 『万葉集』 | ー | 歌集 |
| 『折たく柴の記』 | 新井白石 | 自伝 |
| 『好色五人女』 | 井原西鶴 | 小説 |
| 『方丈記』 | 鴨長明 | 随筆 |
| 『枕草子』 | 清少納言 | 随筆 |
| 『源氏物語』 | 紫式部 | 小説 |
| 『芭蕉俳句集』 | 松尾芭蕉 | 句集 |
| 『玉勝間』 | 本居宣長 | 随筆 |
| 『徒然草』 | 吉田兼好 | 随筆 |
緑帯:日本文学(近代・現代)(17作)
| タイトル | 著者 | 種類 |
|---|---|---|
| 『河童』 | 芥川龍之介 | 小説 |
| 『啄木歌集』 | 石川啄木 | 歌集 |
| 『高野聖・眉かくしの霊』 | 泉鏡花 | 小説 |
| 『檸檬・冬の日』 | 梶井基次郎 | 小説 |
| 『蟹工船、一九二八・三・一五』 | 小林多喜二 | 小説 |
| 『斎藤茂吉歌集』 | 斎藤茂吉 | 歌集 |
| 『暗夜行路』 | 志賀直哉 | 小説 |
| 『夜明け前』 | 島崎藤村 | 小説 |
| 『銀の匙』 | 中勘助 | 小説 |
| 『濹東綺譚』 | 永井荷風 | 小説 |
| 『中野重治詩集』 | 中野重治 | 詩集 |
| 『吾輩は猫である』 | 夏目漱石 | 小説 |
| 『真空地帯』 | 野間宏 | 小説 |
| 『萩原朔太郎詩集』 | 萩原朔太郎 | 詩集 |
| 『にごりえ・たけくらべ』 | 樋口一葉 | 小説 |
| 『風の又三郎』 | 宮沢賢治 | 小説 |
| 『山椒大夫・高瀬舟』 | 森鴎外 | 小説 |
赤帯:外国文学(37作)
| タイトル | 著者 | 種類 |
|---|---|---|
| 『三国志』 | ー | 小説 |
| 『唐詩選』 | ー | 詩集 |
| 『アルプス登攀記』 | エドワード・ウィンパー | ノンフィクション |
| 『カンディード』 | ヴォルテール | 小説 |
| 『ゲーテとの対話』 | ヨハン・ペーター・エッカーマン | 伝記 |
| 『審判』 | フランツ・カフカ | 小説 |
| 『ファウスト』 | J・W・V・ゲーテ | 戯曲 |
| 『外套・鼻』 | ニコライ・ゴーゴリ | 小説 |
| 『どん底』 | マクシム・ゴーリキー | 戯曲 |
| 『オセロウ』 | ウィリアム・シェイクスピア | 戯曲 |
| 『クオ・ワディス』 | ヘンリク・シェンキェヴィチ | 小説 |
| 『静かなドン』 | ミハイル・ショーロホフ | 小説 |
| 『赤と黒』 | スタンダール | 小説 |
| 『ドン・キホーテ』 | ミゲル・デ・セルバンテス | 小説 |
| 『オイディプス王』 | ソポクレス | 戯曲 |
| 『イワン・デニーソヴィチの一日』 | アレクサンドル・ソルジェニーツィン | 小説 |
| 『桜の園』 | アントン・チェーホフ | 戯曲 |
| 『ロビンソン・クルーソー』 | デフォー | 小説 |
| 『シャーロック・ホームズの冒険』 | アーサー・コナン・ドイル | 小説 |
| 『悪霊』 | フョードル・ドストエフスキー | 小説 |
| 『戦争と平和』 | レフ・トルストイ | 小説 |
| 『兵士シュヴェイクの冒険』 | ヤロスラフ・ハシェク | 小説 |
| 『従兄ポンス』 | オノレ・ド・バルザック | 小説 |
| 『オネーギン』 | アレクサンドル・プーシキン | 小説 |
| 『フランクリン自伝』 | ベンジャミン・フランクリン | 自伝 |
| 『ボヴァリー夫人』 | ギュスターヴ・フローベール | 小説 |
| 『黒猫・モルグ街の殺人』 | エドガー・アラン・ポー | 小説 |
| 『イリアス』 | ホメロス | 叙事詩 |
| 『魔の山』 | トーマス・マン | 小説 |
| 『白鯨』 | ハーマン・メルヴィル | 小説 |
| 『ユートピア』 | トマス・モア | 小説 |
| 『タルチュフ』 | モリエール | 戯曲 |
| 『エセー』 | ミシェル・ド・モンテーニュ | 随筆 |
| 『マルテの手記』 | ライナー・マリア・リルケ | 小説 |
| 『阿Q正伝・狂人日記』 | 魯迅 | 小説 |
| 『ジャン・クリストフ』 | ロマン・ロラン | 小説 |
青帯:思想・哲学・宗教・歴史・地理・音楽・美術・教育・自然科学(27作)
| タイトル | 著者 | 種類 |
|---|---|---|
| 『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』 | 内村鑑三 | 自伝 |
| 『歎異抄』 | 親鸞 | 思想書 |
| 『風姿花伝』 | 世阿弥 | 評論 |
| 『三酔人経綸問答』 | 中江兆民 | 評論 |
| 『善の研究』 | 西田幾多郎 | 哲学書 |
| 『文明論之概略』 | 福沢諭吉 | 思想書 |
| 『蹇蹇録』 | 陸奥宗光 | 手記 |
| 『旧約聖書 詩篇』 | ー | 聖書 |
| 『新約聖書 福音書』 | ー | 聖書 |
| 『般若心経・金剛般若経』 | ー | 教典 |
| 『ブッダの言葉』 | ー | 仏教書 |
| 『ニコマコス倫理学』 | アリストテレス | 哲学書 |
| 『道徳形而上学原論』 | イマヌエル・カント | 哲学書 |
| 『論語』 | 孔子 | 思想書 |
| 『古代への情熱』 | ハインリヒ・シュリーマン | 自伝 |
| 『ビーグル号航海記』 | チャールズ・ダーウィン | ノンフィクション |
| 『方法序説』 | ルネ・デカルト | 哲学書 |
| 『哲学の改造』 | ジョン・デューイ | 哲学書 |
| 『ツァラトゥストラはこう言った』 | フリードリヒ・ニーチェ | 哲学書 |
| 『ファーブル昆虫記』 | ジャン・アンリ・ファーブル | 学術書 |
| 『ロウソクの科学』 | マイケル・ファラデー | 学術書 |
| 『ソクラテスの弁明・クリトン』 | プラトン | 哲学書 |
| 『ベルツの日記』 | エルウィン・ベルツ | 日記文学 |
| 『歴史』 | ヘロドトス | 歴史書 |
| 『科学と方法』 | アンリ・ポアンカレ | 思想書 |
| 『実践論・矛盾論』 | 毛沢東 | 評論 |
| 『エミール』 | ジャン=ジャック・ルソー | 評論 |
白帯:法律・政治・経済・社会(7作)
| タイトル | 著者 | 種類 |
|---|---|---|
| 『人権宣言集』 | ー | ー |
| 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 | マックス・ウェーバー | 評論 |
| 『資本論』 | カール・マルクス | 評論 |
| 『共産党宣言』 | カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス | ー |
| 『自由論』 | J・S・ミル | 哲学書 |
| 『世界をゆるがした十日間』 | ジョン・リード | ノンフィクション |
| 『国家と革命』 | ウラジーミル・レーニン | 評論 |
まとめ
以上、100冊の本 ─岩波文庫より─』に選出された作品の一覧でした。現在では絶版で手に入りにくい本も一部ありますが、多くは現在でも読み継がれている名著ばかりです。岩波文庫にチャレンジする際の参考にされるのもよいかと思います。
