【4大ランキング集計】東野圭吾のおすすめミステリ小説ランキング

ミステリ

この記事では、東野圭吾のミステリ小説をランキング形式で紹介いたします。ランキングの指標には、ミステリ業界で毎年恒例となっている4大ミステリランキングを用います。具体的には以下の4つです。

・「週刊文春ミステリーベスト10」(1977年開始)
・「このミステリーがすごい!」(1988年開始)
・「本格ミステリ・ベスト10」(1997年開始)
・「ミステリが読みたい!」(2008年開始)

これら4つのランキングにおいて、当該作品が1位の場合には10点2位の場合には9点3位の場合には8点……10位の場合には1点を付与します。作品ごとに点数を集計し、合計点数の高いものを上位として順位をつけていきます。

東野圭吾の全作品のうち、今回得点の対象となった作品は全部で23作です。1位から8位(同率8位が3作のため、計10作)まではあらすじを含めて紹介し、11位以下は一覧表で確認できるようにまとめました。

上位の作品ほど複数のランキングで高く評価されたことになるため、きっと客観的な指標として役に立つと思います。これから東野圭吾の小説を読みたいと考えている方にとって参考になれば幸いです。

1位 『新参者』 32点

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。
(講談社HPより引用)

第1位は、2009年に刊行された連作短編集『新参者』です。得点は32点。「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」で1位を獲得し、2冠を制覇しています。「加賀恭一郎」シリーズのうちの一作で、シリーズ最高傑作といわれることの多い作品です。連作形式で描かれていく謎とその解明が、やがてひとつの事件に繋がっていく構成が見事な傑作です。2010年にはテレビドラマ化もされました。

2位 『あなたが誰かを殺した』 31点

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。──私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。
(講談社HPより引用)

第2位は、2023年刊行の長編『あなたが誰かを殺した』です。得点は31点。4つのランキングすべてでトップ5入りを果たし、高得点を叩きだしました。『新参者』に続き「加賀恭一郎」シリーズの一作で、過去作『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』を彷彿とさせるタイトルとなっています。今回はそれらのように作中で最後まで真相を明かさず読者自身に推理させる趣向の作品ではありませんが、東野圭吾が久々に放った本格ミステリ度の高い快作です。

3位 『容疑者Xの献身』 30点

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
(文藝春秋BOOKSより引用)

第3位は、2005年に刊行された長編『容疑者Xの献身』です。得点は30点。当時創設前だった「ミステリが読みたい!」を除いて、3つのランキングを史上初めて完全制覇しました。物理学者・湯川学が活躍するガリレオ」シリーズ初の長編で、これをもってシリーズは完全に化けたといっていいでしょう。第6回本格ミステリ大賞、第134回直木三十五賞を受賞し、日本人として史上2度目となるエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ主催)の最終候補となった作品でもあります。痛切なドラマとミステリとして驚きが見事に融合した傑作です。

4位 『白夜行』 23点

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂ー暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
(「BOOK」データベースより引用)

第4位は、1999年刊行の長編『白夜行』です。得点は23点。「週刊文春ミステリーベスト10」においては、デビュー作『放課後』以来の1位を獲得、「このミステリーがすごい!」でも2位になるなど高い評価を得ています。19年という長いスパンで2人の男女の暗い半生を描きながら、あえて彼らの心理描写には踏みこまず、周囲の人物の視点を通じて物語を紡いでいくスタイルが秀一な一作。犯罪小説、暗黒小説の傑作です。

5位 『沈黙のパレード』 18点

静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された──容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む!
(文藝春秋BOOKSより引用)

第5位は、2018年に刊行された長編『沈黙のパレード』です。得点は18点。「週刊文春ミステリーベスト10」では首位を獲得しています。「ガリレオ」シリーズの9作目で、長編では5作目に該当。夏祭りのパレード中に殺人事件が起きるものの、容疑者全員にアリバイがあるという謎に湯川学が挑みます。作中でアガサ・クリスティの代表作『オリエント急行の殺人』に言及されるシーンがありますが、まさに同作へのオマージュが感じられる作品となっています。

6位 『名探偵の掟』 16点

完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
(講談社HPより引用)

第6位は、1996年刊行の連作短篇集『名探偵の掟』です。得点は16点。本作以前に各種ミステリランキングでトップ10入りを果たしたのはデビュー作『放課後』のみで、当時の東野圭吾にとっては久しぶりに高い評価を得た出世作ともいえる作品です。とくに「このミステリーがすごい!」では初のトップ10入りにして3位獲得という結果になりました。天下一大五郎」シリーズの1作目で、ミステリのお約束を皮肉り笑いのめす痛快なメタミステリです。

7位 『聖女の救済』 13点

資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが…。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作。
(文藝春秋BOOKSより引用)

第7位は、2008年に刊行された長編『聖女の救済』です。得点は13点。「本格ミステリ・ベスト10」で4位、「週刊文春ミステリーベスト10」で5位を記録しました。ガリレオ」シリーズの通算5作目で、長編としては2作目です。『容疑者Xの献身』と同じく最初から犯人がわかっている倒叙ミステリで、さすがに『容疑者Xの献身』ほどの世評ではありませんが、強烈なトリックが炸裂する「ハウダニット(どのように犯行を行ったか)」の傑作です。

8位 『放課後』 10点

校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。
(講談社HPより引用)

第8位は、1985年に刊行された長編『放課後』です。得点は10点。第31回江戸川乱歩賞を受賞した東野圭吾のデビュー作で、「週刊文春ミステリーベスト10」でいきなり1位を獲得しました。名門女子高で起きる密室殺人事件を扱ったミステリで、後年の作品と比べると若荒削りな部分も目につくかもしれませんが、トリックや構成など十分読ませるものがあると思います。超人気作家のデビュー作として、今なお根強い人気のある一作です。

8位 『秘密』 10点

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。
(文藝春秋BOOKSより引用)

同率で第8位となったのは、1998年刊行の長編『秘密』です。「週刊文春ミステリーベスト10」では3位と、上位に食いここんでいます。第52回日本推理作家協会賞受賞作であり、これが東野圭吾にとってはデビュー以来初めての文学賞受賞でした。人気作家として花開くきっかけとなった一作といっていいでしょう。事故で亡くなったはずの妻の魂が、同じ事故で仮死状態になった娘の身体に宿ってしまうという「人格の入れ替わり」をテーマにした作品。ファンタジックで切ない秀作です。

8位 『祈りの幕が下りる時』 10点

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。
(講談社HPより引用)

もうひとつ同率で第8位となったのが、2013年刊行の長編『祈りの幕が下りる時』です。「週刊文春ミステリーベスト10」では2位となり、高い評価を獲得しています。また、文学賞においては第48回吉川英治文学賞を受賞しました。「加賀恭一郎」シリーズの10作目で、加賀の母親が初めて登場するなど、公私にわたって加賀のキャラクターがより深く掘り下げられています。「東野圭吾版『砂の器』」と評する声もあり、社会派ミステリとして優れた一作です。

1点以上を獲得した作品全23作の一覧表は以下のとおりです。各ミステリランキングの名称はスペースの都合上、略して書いています。各ランキングの順位で空欄になっているマスは10位圏外、「ー」はランキング開始前を表しています。なお、スマホの方は表を横にスクロールできます

順位点数タイトル文春このミス本格ミス読み
1位32点新参者1位1位5位5位
2位31点あなたが誰かを殺した2位3位3位5位
3位30点容疑者Xの献身1位1位1位
4位23点白夜行1位2位7位
5位18点沈黙のパレード1位4位10位
6位16点名探偵の掟8位3位6位
7位13点聖女の救済5位4位
8位10点放課後1位
8位10点秘密3位9位
8位10点祈りの幕が下りる時2位10位
11位9点超・殺人事件8位5位
11位9点赤い指4位9位
13位7点マスカレード・ホテル4位
14位6点どちらかが彼女を殺した5位
14位6点虚ろな十字架5位
14位6点白鳥とコウモリ5位
17位4点幻夜7位
17位4点麒麟の翼7位
19位3点禁断の魔術 ガリレオ88位
20位2点真夏の方程式9位
20位2点希望の糸9位
22位1点魔球10位
22位1点夢幻花10位

まとめ

以上、4大ミステリランキングの結果から独自集計した、東野圭吾のミステリ小説ランキングでした。超人気作家の評価の高い作品がよくわかるランキングになっていると思いますので、ぜひ本を買うときの参考にしていただければ幸いです。