【4大ランキング集計】有栖川有栖のおすすめミステリ小説ランキング

ミステリ

この記事では、有栖川有栖のミステリ小説をランキング形式で紹介いたします。ランキングの指標には、ミステリ業界で毎年恒例となっている4大ミステリランキングを用います。具体的には以下の4つです。

・「週刊文春ミステリーベスト10」(1977年~)
・「このミステリーがすごい!」(1988年~)
・「本格ミステリ・ベスト10」(1997年~)
・「ミステリが読みたい!」(2008年~)

これら4つのランキングにおいて、当該作品が1位の場合には10点2位の場合には9点3位の場合には8点……10位の場合には1点を付与します。作品ごとに点数を集計し、合計点数の高いものを上位として順位をつけていきます。

有栖川有栖の全作品のうち、今回得点の対象となった作品は全部で15作です。1位から5位まではあらすじを含めて紹介し、6位以下は一覧表で確認できるようにまとめました。

上位の作品ほど複数のランキングで高く評価されたことになるため、きっと客観的な指標として役に立つと思います。これから有栖川有栖の小説を読みたいと考えている方にとって参考になれば幸いです。

1位 『女王国の城』 28点

舞台は、めざましい成長を遂げる宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。大学に姿を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。とかく噂の神倉へ、何故? 様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。紆余曲折を経て〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認できたものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。第八回本格ミステリ大賞に輝いた、江神シリーズ第四作。
(東京創元社HPより引用)

第1位は、2007年に刊行された長編『女王国の城』です。得点は28点。「週刊文春ミステリーベスト10」と「本格ミステリ・ベスト10」で1位を獲得し、2冠を達成。「このミステリーがすごい!」においても3位と上位入賞を果たしていますが、「ミステリが読みたい!」では集計期間ギリギリの刊行だったことが災いしてランクインを逃しているのが惜しいところです。デビューから書きつづけている学生アリスシリーズ(江神二郎シリーズの、じつに15年ぶりの新作として発表された大作で、作者の持ち味である周到な伏線や緻密なロジックを十全に堪能できる傑作です。

1位 『狩人の悪夢』 28点

「俺が撃つのは、人間だけだ」彼は、犯罪を「狩る」男。臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、悪夢のような事件の謎を解き明かす!人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、右手首のない女性の死体が発見されて……。
(KADOKAWAHPより引用)

同率で第1位となったのは、2017年刊行の長編『狩人の悪夢』です。「本格ミステリ・ベスト10」で2位になったほか、「週刊文春ミステリーベスト10」と「ミステリが読みたい!」で4位になるなどして高得点を叩きだしました。もうひとつの代表的シリーズ、作家アリスシリーズ(火村英生シリーズの9作目の長編で、強靱なロジックで犯人を追い詰めていく本格ミステリです。中短編集も多い同シリーズですが、長編では本作が最高傑作といってよいでしょう。

3位 『捜査線上の夕映え』 20点

大阪のマンションの一室で、元ホストの死体がスーツケースに押し込められた状態で発見された。凶器や被疑者はすぐに見つかり、難なく解決するかに思われた事件は、鉄壁のアリバイと捜査を攪乱する“ジョーカー”によって不可能犯罪と化す。火村とアリスの辿りついた真相が心震わす、シリーズ新境地の傑作長篇。
(文藝春秋BOOKSより引用)

第3位は、2022年に刊行された長編『捜査線上の夕映え』です。得点は20点。「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」で3位に入るなど、4つのランキングすべてトップ10入りを果たし、大きく得点を伸ばしました。作者らしい王道の本格ミステリでありながら、瀬戸内海を舞台にした旅情あふれる描写も魅力的で、タイトルどおり美しい夕映えが印象に残る作品です。作家アリスシリーズ(火村英生シリーズの30周年を記念する長編ですが、『狩人の悪夢』と並んでシリーズ屈指の長編といって差し支えないと思います。

4位 『鍵の掛かった男』 18点

中之島のホテルで梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺と断定。だが同ホテルが定宿の作家・影浦浪子は疑問を持った。彼はスイートに5年住み周囲に愛され2億円預金があった。影浦は死の謎の解明を推理作家の有栖川有栖と友人の火村英生に依頼。が調査は難航。彼の人生は闇で鍵の掛かった状態だった。梨田とは誰か? 他殺なら犯人は? 驚愕の悲劇的結末!
(幻冬舎HPより引用)

第4位は、2015年刊行の長編『鍵の掛かった男』です。得点は18点。「このミステリーがすごい」で3位に入ったほか、4つのランキングすべてでトップ10入りを達成しています。こちらも作家アリスシリーズ(火村英生シリーズのひとつで、文庫で700ページを超える長編ですが、探偵・火村がなかなか登場しない異色作となっています。そのかわり、ふだんは助手であるアリスの孤軍奮闘っぷりがたっぷり描かれ、シリーズのファンでも新鮮に楽しめる佳作です。

第5位 『乱鴉の島』 16点

犯罪社会学者の火村英生は、友人の有栖川有栖と旅に出て、手違いで目的地と違う島に送られる。人気もなく、無数の鴉が舞い飛ぶ暗鬱なその島に隠棲する、高名な老詩人。彼の別荘に集まりくる謎めいた人々。島を覆う死の気配。不可思議な連続殺人。孤島という異界に潜む恐るべき「魔」に、火村の精緻なロジックとアクロバティックな推理が迫る。本格ミステリの醍醐味溢れる力作長編。
(新潮社HPより引用)

第5位は、2006年に刊行された長編『乱鴉の島』です。得点は16点。「本格ミステリ・ベスト10」で見事1位を獲得したほか、「週刊文春ミステリーベスト10」で5位に食いこみました。もはやおなじみの作家アリスシリーズ(火村英生シリーズの長編で、いわゆる「孤島もの」の本格ミステリです。「乱鴉」は「らんあ」と読み、作中ではエドガー・アラン・ポーの詩「大鴉」が効果的に引用され、不気味で寂寥感が漂う作品に仕上がっています。

1点以上を獲得した作品全15作の一覧表は以下のとおりです。各ミステリランキングの名称はスペースの都合上、略して書いています。各ランキングの順位で空欄になっているマスは10位圏外、「ー」はランキング開始前を表しています。なお、スマホの方は表を横にスクロールできます

順位点数タイトル文春このミス本格ミス読み
1位28点女王国の城1位3位1位
1位28点狩人の悪夢4位6位2位4位
3位20点捜査線上の夕映え8位3位8位5位
4位18点鍵の掛かった男5位8位7位6位
5位16点乱鴉の島5位1位
6位12点双頭の悪魔4位6位
7位9点スイス時計の謎2位
8位8点マレー鉄道の謎3位
8位8点インド倶楽部の謎5位9位
10位6点日本扇の謎10位6位
11位5点江神二郎の洞察6位
12位4点妃は船を沈める7位
13位3点幽霊刑事8位
13位3点絶叫城殺人事件8位
15位2点朱色の研究9位

まとめ

以上、4大ミステリランキングの結果から独自集計した、有栖川有栖のミステリ小説ランキングでした。有栖川有栖がデビュー以来書きつづけてきた端正な本格ミステリのなかでどの作品を読めばいいか、お悩みの方の参考になれば幸いです。