カジノを舞台にした海外のギャンブル小説おすすめ5選!

ギャンブル小説

カジノが合法化されている国・地域は世界で120か国以上と言われています。法的に認可されていない日本と比較すると、欧米ではカジノを舞台にした映画や小説が多く存在します。日本でも2030年秋ごろ、大阪市の人工島・夢洲にカジノを含む統合型リゾート (IR) が開業されることが確実視されていますが、カジノ解禁前にフィクションを通じてその世界を覗いてみるのもいいかもしれません。

そこでこの記事では、カジノを舞台にした海外のギャンブル小説について紹介いたします。なお、カジノを舞台にした日本のギャンブル小説については下記の記事で紹介していますので、よろしければあわせてお読みください。

『賭博者』フョードル・ドストエフスキー

ドイツのある観光地に滞在する将軍家の家庭教師をしながら、ルーレットの魅力にとりつかれ身を滅ぼしてゆく青年を通して、ロシア人に特有な病的性格を浮彫りにする。ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており、己れ自身の体験に裏打ちされた叙述は、人間の深層心理を鋭く照射し、ドストエフスキーの全著作の中でも特異な位置を占める作品である。
(新潮社HPより引用)

賭博者』は、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーによる長編小説です。ギャンブル狂で借金に追われながら小説を書いていたドストエフスキーが自身の実体験をもとに、カジノのルーレット賭博によって破滅していく青年の姿を描いた作品です。

序盤はエキセントリックなキャラクターたちの恋愛小説のように見えますが、中盤で主要人物の老婆がルーレットで大儲けするくだりから一気にギャンブル小説としておもしろくなります。作中にいろいろな通貨単位が出てきますが、飛び交うお金が現在の円に換算するとどれくらいになるのかを念頭に置いて読むとさらにおもしろくなることは間違いありません。

『007/カジノ・ロワイヤル』イアン・フレミング

イギリスが誇る秘密情報部で、ある常識はずれの計画がもちあがった。ソ連の重要なスパイで、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルを打倒せよ。彼は党の資金を使いこみ、高額のギャンブルで一挙に挽回しようとしていた。それを阻止し破滅させるために送りこまれたのは、冷酷な殺人をも厭(いと)わない007のコードをもつ男──ジェームズ・ボンド。007初登場作を新訳でリニューアル!
(東京創元社HPより引用)

007/カジノ・ロワイヤル』は、イギリスの作家イアン・フレミングによる長編小説で、世界でいちばん有名なスパイ、ジェームズ・ボンドが初登場する「007」シリーズの1作目です。映画での超人的なイメージが強いジェームズ・ボンドですが、じつは映画の影響を受けて、原作でもシリーズを重ねるごとに超人化していった経緯があります。その点、本作はシリーズ最初の作品ということで、そうしたイメージとは少し違う(ちょっと地味な)彼の姿を見ることができます。

とはいえ、組織の資金を使いこみギャンブルで取り返そうとするソ連のスパイを相手に、ボンドがカジノで勝負に挑む、というストーリーは外連味たっぷり。2006年の映画版ではポーカーによる対決が描かれていましたが、原作で登場するのはバカラです。とてつもない金額を賭けた大勝負はまさに手に汗握るおもしろさ。物語の半分ほどでカジノのシーンは終わってしまうのですが、それでもギャンブル小説として一読の価値はあると思います。

『負けた者がみな貰う』グレアム・グリーン

さえない中年会計係のぼくと若い恋人のケアリーは、つましい結婚式を計画していた。ところが、勤め先の有力者の気まぐれな勧めにさからえず、高級リゾートのモンテ・カルロで式をあげることに。市長立会いの挙式、美しい海、そして豪華ヨットが待つ港町へむかったぼくたちはしかし、ギャンブルをめぐる不器用な愛のすれちがいにはまりこむ――丸谷才一の名訳で贈る巨匠の異色恋愛喜劇。著作リスト・年譜を収録した保存版。
(「BOOK」データベースより引用)

負けた者がみな貰う』は、イギリスの巨匠グレアム・グリーンによる中編小説です。地味な結婚式と新婚旅行をおこなう予定だった主人公とその恋人が、ひょんなことからカジノを有する高級リゾートで式を挙げることになり、ギャンブルをきっかけにすれ違っていく姿を描いた恋愛小説となっています。

主人公がはまりこむ賭博はルーレット。最初は負けつづけるものの、自分のなかで必勝法を編みだすと今度は勝ちに勝ちまくり、新婚旅行などそっちのけでギャンブルにのめりこんでいきます。しかし大金を手にして恋人が喜んでくれるかと思いきや、勝てば勝つほど彼女の心は離れていき、ふたりの新婚旅行はどんどん怪しい雲行きに……。

と書くと、ずいぶん不穏な作品に思われるかもしれませんがそんなことはなく、賭博やお金の怖さを描きながらも、心温まるラブストーリーに仕上がっています。巨匠のおしゃれな小品として楽しんでいただきたい一作です。

『カジノを罠にかけろ』ジェイムズ・スウェイン

ブラックジャックで不審な大勝ちを続ける謎の男。手口は不明。素性も怪しい。ディーラーの裏切りか?カジノの依頼で謎に挑む老練のイカサマ・ハンター、トニー・ヴァレンタイン。だが敵が仕掛けた罠は周到狡猾、真の狙いは容易に見抜けない…クールなヒーローに楽しい脇役、ラスベガスに展開する快速ギャンブル・ミステリ。
(「BOOK」データベースより引用)

カジノを罠にかけろ』は、アメリカの作家ジェイムズ・スウェインによる長編ミステリです。主人公は元刑事で、現在はカジノから依頼を受け、いかさま師たちの不正行為を暴くコンサルタント業を営む“イカサマ・ハンター”。本作ではラスベガスのカジノを舞台に、ブラックジャックで大勝ちを続ける謎めいた男との闘いが描かれます。

ジャンルとしてはあくまでミステリで、ギャンブルそのものによる対決が描かれるわけではないですが、カジノの関係者をはじめ個性的なキャラクターたちが多数登場し、先の読めないストーリーがテンポよく展開される秀作です。著者はもともとカード・マジックを得意とするマジシャンで、ギャンブルにも造詣が深いということもあり、ギャンブルやカジノにまつわる蘊蓄も楽しめます。

『リノで途中下車』ジャック・フィニイ(杉江松恋編『ミステリマガジン700【海外編】 創刊700号記念アンソロジー』所収)

日本1位、世界2位の歴史を誇るミステリ専門誌“ミステリマガジン”の創刊700号を記念したアンソロジー“海外編”。1956年の創刊当時から現在に至るまでの掲載短編から、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、エドワード・D・ホック、クリスチアナ・ブランド、ボアロー&ナルスジャック、イアン・ランキン、レジナルド・ヒルら、海外の最新作を紹介し続けてきたからこその傑作がここに集結。全編書籍未収録作。
(「BOOK」データベースより引用)

リノで途中下車」は、アメリカの作家ジャック・フィニイによる短編小説です。日本ではミステリ専門誌『ミステリマガジン』の創刊700号を記念したアンソロジーでのみ読める作品ですが、これが本当にすばらしい傑作短編なのです。

金欠の夫婦が新天地で人生を再出発させようとサンフランシスコへ向かっている途中、疲労のためリノで一泊することに(リノはカジノ・シティとして名高い街)。そこで夫は、せっかくリノへ来たのだから1ドルだけ賭けてみようと妻に内緒でカジノへ足を踏み入れ、クラップスに挑みます。

しかし、それがギャンブルの罠。1ドルだけと決めていたはずが、小さな負けを取り返そうとして主人公はジリジリと追い詰められていきます。このヒリヒリとした心理描写がじつに見事。平凡で善良な人間がギャンブルの暗い穴にはまっていく怖さが完璧に表現されています。

クラップスは日本ではあまりなじみがなく、ルールがわからないという人も多いかと思います。知識がなくても読書に支障はないですが、最低限のルールを知っておくとイメージがつかみやすいと思うので、読む前に簡単に調べておくことをおすすめします。

まとめ

以上、カジノを舞台にした海外のギャンブル小説の紹介でした。ギャンブル好きな方はもちろん、そうでない方でも楽しめる作品ばかりだと思いますので、気になった小説があれば手にとっていただきたいと思います。